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【人柱レビュー】世界初のスマートスーツケース、Bluesmartを買ってみた。前編

2014年10月、こちらのクラウドファンディングサイトに登場したスマート・スーツケース、Bluesmart。様々なウェブメディアで取り上げられ、あっという間に目標額を達成したことで当時話題になっていました。

世界初、スマホと連携する機内持ち込み用「スマート・スーツケース」

私もこちらの記事でその存在を知り、早速$295ドルを支払い、パーソナライズバージョンを予約しました。ちなみに日本への送料は$40。カサ張るので高い…
以前の記事で紹介したように、スーツケースは既に持っていましたが、1週間程度の出張や、国内出張に使えるサイズのスーツケースを買い替えたいと思っていたので渡りに船でした。価格としては決して安くないですが、こうしたコンセプトのスーツケースはこれまで見たことがなかったので、応援の意味も含めての購入でした。

上の記事では2015年8月ごろから順次発送となっていましたが、延びに延びて手元に届いたのが2015年12月中旬。発送の連絡と同時にトラッキング情報がメールで入り、それから2~3日で到着しました。

Bluesmart_package

というわけで遅まきながら、人柱レビューです。

まずは開封の儀。

Bluesmart_package_open
Bluesmart_package_open2

こんな感じで、不織布のカバーに本体が入っています。
取り出します。

Bluesmart_body

オモテ。

Bluesmart_body2

ウラ。

ボディは黒のポリカーボネート製。持ち手や車輪の内側にアクセントで青色があしらわれています。オモテ面にはラップトップ等を収納できるナイロン製のポケットがついています。

ここでスペックをおさらい。

サイズ22”x14”x9” (56x36x23cm)
合計 約115cm
重量4.26kg
内容量34L
ケース素材ポリカーボネート
バッテリー容量10,000mAh

さて、このサイズのケースで非常に重要となってくるのが、機内持ち込みできるか否かという点です。ケースを機内に持ち込めれば、預け荷物を待つ必要がないため、到着後すぐに目的地に移動ができます。Bluesmartは機内持ち込み用ケースとして紹介されていますが、アメリカでデザインされた製品ですので検証してみます。

まず気になるのが、預け荷物・機内持ち込み荷物にかかる制限です。最近、バッテリーを積んだホバーボードが発火したといったニュース等で取り上げられたこともありご存知かもしれませんが、リチウムイオン電池については、航空機への受託・持ち込みに一定の制限があります。Bluesmartは10,000mAhのバッテリーを積んでいますが、航空機への受託・持ち込みはできるのか、見てみましょう。

 

種類条件
「ワット時定格量(Wh)=定格定量(Ah)×定格電圧(V)」
個数制限持込受託
電子機器本体・リチウム電池はリチウム含有量が2g以下のもの ・リチウムイオン電池(バッテリー)はワット時定格量が160Wh以下のもの制限なし
予備電池・リチウム電池はリチウム含有量が2g以下のもの ・リチウムイオン電池(バッテリー)はワット時定格量が100Wh以下のもの制限なし○*×
予備電池・ リチウムイオン電池(バッテリー)はワット時定格量が100Whを超え160Wh以下のもの2個○*×

ANAウェブサイトより

JALも同様の制限でした。しかしウェブサイト上にはリチウム電池の記載がなく、PDFの表にしか載っていない。モバイルバッテリーの普及が進んでいるので、JALにおかれましては周知のためわかりやすいところに記載したほうがよろしいかと…

上の表から、デバイスの種類で受託の可否が分かれることがわかります。Bluesmartは電子機器本体と見るか、予備電池を備えたケースと見るかが微妙なところです。Bluesmartのバッテリーはモバイルバッテリーのように他のデバイスに電力を供給する使途が大きくなるかと思われますが、本体のロックや、Bluetooth接続に使われる電力もこのバッテリーから取られており、バッテリーのみ取り外すことはできないので、その意味では本体と呼べそうです。

バッテリーを備えたケースの扱いについてのガイドラインは、ANA・JALともに制定されていないようですが、窓口で予備電池であると判断されれば機内への預け入れができなくなる可能性は高いです。自己申告をしなければ預けられるかもしれませんが、こうした製品の存在が周知されれば、窓口で捕捉される可能性もあります。安心して出張に持っていくには、各社の公式アナウンスを待ちたいところです。

また、ワット時定格量なる聞きなれない単語が出てきました。160Whを越えるバッテリーは預け入れも機内持ち込みも不可、100Wh以上のバッテリーは2個までは機内持ち込みが可能と判断できますが、Bluesmartのバッテリーは何Whに相当するのでしょうか。

ここで、モバイルバッテリーブランドのCheeroのウェブサイトを引用します。

携帯充電器のスペックに記載されている、5000mAh などの、「mAh(ミリアンペアアワー)」という表記。これは、そのバッテリーに蓄えられている電気の量を表します。

容量の目安としては、例えば、iPhoneの充電容量は、約1400mAh。5000mAhの充電容量がある携帯充電器ですと約2回分はフル充電が可能です。

単純に割り算をすると3.5回ぐらいなのですが、実効容量は約60-70%ぐらいで、2.5回ぐらいがMAXになります。なぜかと申しますと、少し技術的な話になり申し訳ありませんが、一般的にリチウムイオンバッテリーは3.7Vが定格出力となっており、USB出力する際に、USBの仕様に合わせ5Vに昇圧が必要となります。また携帯に充電する際には減圧が必要となり、その際の変換ロスや熱損等、色々なロスが出て、実際は60-70%程が実効容量となります。

というわけで、Bluesmartのワット時定格量は10Ah x 3.7V = 37Whとなり、機内持ち込みの個数制限はかかりません。大容量のモバイルバッテリーでもせいぜい20,000mAh強ですので、ここは現状あまり気にしなくていい部分でしょう。

次にサイズを見てみます。持ち込み荷物には当然サイズ制限があります。もしチェックインの際にBluesmartのバッテリーが予備電池であるとの判断がされれば、必然的に機内に持ち込むことになりますが、サイズ制限のため持ち込みもできないとなれば八方塞りです。
各キャリアのサイズ制限を見てみます。

Bluesmartサイズ22”x14”x9” (56x36x23cm)
合計 約115mm
ANA 国内線 (100席未満)45x35x20cm
3辺の合計が100cm以内・10kg以内
JAL 国内線 (100席未満)45x35x20cm
3辺の合計が100cm以内・10kg以内
ANA 国内線 (100席以上)55x40x25cm
3辺の合計が115cm以内・10kg以内
JAL 国内線 (100席以上)55x40x25cm
3辺の合計が115cm以内・10kg以内
ANA 国際線3辺の和115cm(45インチ)以内 かつ、3辺それぞれの長さ55cm×40cm×25cm(22×16×10インチ)以内
JAL 国際線3辺の和115cm(45インチ)以内 かつ、3辺それぞれの長さ55cm×40cm×25cm(22×16×10インチ)以内
United Airlines3辺が各22x35x56cm(9”x14”x22")以内
Lufthansa55x40x23cmまで
8kg以内(エコノミー)
Jetstar56x36x23cm
手回り品含め7kgまで(エコノミー)

出典: ANA, JAL, United Airlines, Lufthansa, Jetstar

 

主要キャリア数社を見比べて見る限り、国際線はギリ持ち込み可というところでしょうか。機材によってはコンパートメントにかなり押し込む必要があるかもしれません。

国内線になると、プロペラ機などの席数の少ない機材では持ち込みが難しくなります。マイナーな目的地に向かう場合は、注意しておいたほうがよさそうです。
次に容量・重量を他社製品と比べてみます。

 BluesmartノーブランドProtecaSamsonite
サイズ56x36x23cm55x37x25cm48x34x23cm55x35x25cm
重量4.26kg3.5kg2.6kg3.3kg
容量34L34L31L31L

 

バッテリーを積んでいる分、やはり重量はノーブランド品と比べてもかなり重くなってしまっています。
MacBook Air 13”の重量が1.35kgで、充電器やアクセサリを入れると2kg近くなってしまいます。
そうなると、持ち込み荷物の重量制限がキツいキャリアだと、他のものがほとんど入れられない…ということになってしまいます。個人的に持ち込み荷物の重量を厳しくチェックされた経験はありませんが、LCC等では厳しく見られるかもしれません。その点ではこの重量は正直、不安要素です。

ちなみに、Ankerの10,400mAhのモバイルバッテリーが254g… となると、バッテリー性能だけを見ればBluesmartには正直分が悪いと言わざるを得ません。

さて、ここまではスーツケース一般としてのBluesmartのレビューをしてみました。
後編では、詳細にフォーカスして、Bluesmartの特徴を洗い出していきたいと思います。

乞うご期待。

→【人柱レビュー】世界初のスマートスーツケース、Bluesmartを買ってみた。後編へ

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